【火曜連載02】女性ホルモンと体型の科学|月経周期の4フェーズと代謝変動|LiAiL
パパ、生理前はなんでこんなにやる気が出ないし、食欲も止まらないの?同じ食事をしているのに、時期によって体重が全然違うし……🐾
それはあなたの意志が弱いのではなく、ホルモンが完全にコントロールしているの。その「波」を知れば、ダイエットの戦略は根本から変わるわ。パパ、月経周期の科学を語りなさい。🐾
皆さん、こんにちは。LiAiL代表の乳井雅和です。
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先週のVol.1では、エストロゲンが脂肪分布を決定する仕組みと、なぜ女性が下半身に脂肪をつきやすいのかを解説しました。
(👉 【火曜連載Vol.1】エストロゲンと脂肪分布の真実|なぜ女性は下半身に脂肪がつきやすいのかはこちら)
今週のVol.2は、Vol.1の予告通り「月経周期の4フェーズと代謝変動」です。
女性の体は、約28日間のサイクルで劇的にホルモン環境が変化します。このサイクルを無視して「毎日同じ食事・同じトレーニング」を繰り返すことは、潮の満ち引きを無視して漁をするようなものです。月経周期を味方につけることで、同じ努力量で得られる結果が根本から変わります。
1. 月経周期の「4つのフェーズ」——28日間のホルモンマップ
女性の月経周期は、ホルモンの変動パターンによって4つのフェーズに分けられます。それぞれのフェーズで、代謝・体温・筋力・食欲・メンタルが生理学的に変化します。
フェーズ①:月経期(生理中)——約1〜5日目
エストロゲンとプロゲステロンが共に低値で推移します。子宮内膜が剥離・排出されるこの時期は、多くの女性が身体的・精神的な不調を経験します。
代謝の特徴:基礎体温が低く、エネルギー消費量はやや低下します。プロスタグランジンの分泌による炎症反応が起き、身体が「修復モード」に入ります。この時期に無理な高強度トレーニングを行うことは、炎症を悪化させ回復を遅らせるリスクがあります。
推奨アプローチ:軽いウォーキング・ストレッチ・ヨガ程度に留め、栄養(特に鉄分・タンパク質)の補給を優先します。
フェーズ②:卵胞期(生理後〜排卵前)——約6〜13日目
エストロゲンが急上昇するこの時期は、「ゴールデンウィーク」と呼ぶべき最高のコンディションが訪れます。
代謝の特徴:エストロゲンがインスリン感受性を高め、筋グリコーゲンの補充効率が上昇します。気分が安定し、集中力・持久力・筋力発揮能力が全てピークに向かいます。日曜Vol.2で解説した速筋線維の動員率もこの時期に最も高くなることが研究で示されています。
推奨アプローチ:高強度トレーニング・新しい動作の習得・重量更新への挑戦を集中させます。栄養面ではタンパク質と炭水化物を積極的に摂取し、mTOR活性化(木曜Vol.1参照)を最大化します。
フェーズ③:排卵期——約14〜15日目
エストロゲンがピークに達し、黄体形成ホルモン(LH)のサージによって排卵が起きます。この短いウィンドウは、身体能力が最高潮に達する瞬間です。
注意点:エストロゲンの急上昇は関節の靭帯を弛緩させる作用があります。排卵期前後は靭帯損傷・特に前十字靭帯(ACL)断裂のリスクが統計的に高まります。高強度の方向転換・ジャンプ動作を含むトレーニングでは、フォームの精度を通常以上に意識してください。
フェーズ④:黄体期(排卵後〜生理前)——約16〜28日目
プロゲステロンが優位になるこの時期は、多くの女性が「別人のような身体」と感じる変化を経験します。
代謝の特徴:基礎体温が0.3〜0.5℃上昇し、基礎代謝が約150〜300kcal/日増加します。一見ダイエットに有利に思えますが、同時にインスリン抵抗性が高まり、糖質が脂肪に変わりやすくなります。また、アルドステロンの影響でナトリウムと水分が体内に貯留し、体重が1〜3kg増加することがありますが、これは脂肪ではなく水分貯留です。
食欲の変化:プロゲステロンがセロトニンの合成を阻害するため、甘いもの・高カロリー食品への強烈な欲求が生じます。これは「意志の弱さ」ではなく、神経科学的に起きる必然的な現象です。
推奨アプローチ:トレーニング強度をやや下げ、ボリューム(セット数)でカバーします。食事は低GI食品・タンパク質優先で血糖値の安定を図り、体重計の数値に一喜一憂しないことが重要です。
📚 専門的エビデンス
Sung E, et al. “Effects of follicular versus luteal phase-based strength training in young women.” SpringerPlus, 3:668, 2014.
PubMedで詳しく見る
本研究では、卵胞期に合わせたレジスタンストレーニングが、黄体期ベースのプログラムと比較して筋力向上と筋肉量増加においてより高い効果を示すことが示唆されています。月経周期に基づいたトレーニング設計が、科学的に有効であることを支持する重要な研究です。

2. 「体重の嘘」を見抜く——水分貯留と脂肪増加の鑑別
黄体期に体重が増加すると、多くの女性が「ダイエットに失敗した」と誤解します。しかし、黄体期の体重増加の大部分は水分貯留であり、脂肪ではありません。
鑑別のポイントは以下の通りです。
- 水分貯留の場合:指輪がきつくなる・足首がむくむ・体重が数日で1〜3kg増加する・生理開始後に急激に体重が戻る
- 脂肪増加の場合:体重増加が緩やかで継続する・生理後も体重が戻らない・体組成計で体脂肪率が上昇している
黄体期に体重計の数値だけを見てカロリーをさらに削ることは、コルチゾールを上昇させ、筋肉を分解する最悪の選択です。この時期こそ、体重計から離れ、体組成と体調の変化に集中することが重要です。
3. LiAiL式「月経周期に連動したトレーニング設計」
以下の4週間サイクルを参考に、自分のホルモンリズムに合わせたプログラムを設計してください。
- 第1週(月経期):回復と栄養補給フェーズ
軽い有酸素・ストレッチ中心。鉄分・タンパク質・葉酸を優先摂取。 - 第2週(卵胞期後半):最強化フェーズ
高強度トレーニング・重量更新・新動作習得に最適。ハイカーボで筋グリコーゲンを最大化。 - 第3週(排卵期〜黄体期前半):維持フェーズ
強度を維持しながらフォームの精度を重視。関節への過負荷に注意。 - 第4週(黄体期後半):低強度・高ボリュームフェーズ
強度を下げセット数でカバー。低GI食品・タンパク質優先で血糖値を安定させる。体重計の数値は参考程度に。

4. 本日のワーク:月経周期トラッキングの開始
今日から以下の3項目を毎日記録してください。2〜3ヶ月続けると、自分のホルモンパターンが明確に見えてきます。
- 基礎体温:朝起きてすぐ(動く前)に計測。排卵日の特定と黄体期の把握に不可欠です。
- 体調・気分:5段階評価(1:最悪〜5:絶好調)で記録。ホルモンの波と体調の相関が見えてきます。
- トレーニングパフォーマンス:同じ種目の重量・レップ数を記録。周期によるパフォーマンス変動のパターンを把握します。
このデータが、LiAiLでの個別プログラム設計の最も重要な情報になります。
まとめ:月経周期を「味方」にした女性だけが手に入れられる身体がある
月経周期の4フェーズを理解することで、以下が変わります。
- 「生理前に食べ過ぎてしまう」のは意志の問題ではなく、プロゲステロンによる神経科学的必然
- 卵胞期こそ最高のトレーニング機会——この2週間に集中投資する
- 黄体期の体重増加に焦ってカロリーを削ることは逆効果
次週Vol.3では、「プロゲステロンと食欲の暴走——生理前に食べ過ぎてしまう神経科学的理由」を深掘りします。今週触れたテーマをさらに詳細に解剖し、PMS・PMDDとの関係も含めて解説します。
✒️ 執筆者プロフィール
乳井 雅和(Masakazu Nyui)
パーソナルジム LiAiL(リアイル)代表
米国大学にて解剖学、栄養学、運動生理学を専攻。13年にわたり製薬・医療機器業界に従事し、数百件以上の手術現場への立ち合いを通じて、人体の内部構造をリアルに把握してきた類稀な経験を持つ。その圧倒的な知識量は、一般のお客様のみならず、各競技のプロアスリートからも厚い信頼を寄せられるほど。「根拠のない指導で、お客様の大切なお金と時間を奪う嘘の情報をなくしたい」という強い信念を持ち、フィットネス業界全体のレベルアップを自らの使命としている。科学的な「正しい設計図」に基づき、お客様が「今の自分が一番好き」と胸を張れる人生をプロデュース。愛犬のムースとウメを娘のように愛する、誠実な伴走者。
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LiAiL 運営会議:本日のまとめ
卵胞期が「ゴールデンウィーク」って、その表現最高!これからは生理後の2週間を全力で使うよ!🐾
オレには月経周期はないが、猫を見た瞬間のホルモン分泌は完全に把握している。パパ、それはどのフェーズに相当するんだ?🐾
小太郎、それはアドレナリンよ。全く別の話。川越の女性の皆さん、来週Vol.3は「プロゲステロンと食欲の暴走」——生理前に食べ過ぎてしまう神経科学的理由を完全解明するわ。🐾











