【月曜連載03】医療現場が教えるカラダの真実|脊椎手術の現場から学ぶ「腰痛の本当の原因」|LiAiL

2026.06.01

パパ、腰痛って「椎間板ヘルニア」が原因って言われることが多いけど、それだけじゃないの?ストレッチしても全然良くならない人がいるんだけど……🐾

腰痛の原因を「椎間板だけ」と思っているトレーナーは、まだ表面しか見えていないわ。パパは手術室で脊椎の内部を直接見てきた。その「真実」を語りなさい。🐾

皆さん、こんにちは。LiAiL代表の乳井雅和です。
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Vol.1では「太りやすい体の構造的特徴」を、Vol.2では「姿勢が内臓機能に与える衝撃的影響」をお伝えしました。
(👉 【月曜連載Vol.1】手術室で見た「太りやすい体」の正体はこちら
(👉 【月曜連載Vol.2】姿勢が内臓機能に与える衝撃的影響はこちら

今週Vol.3のテーマは、Vol.2の予告通り「脊椎手術の現場から学ぶ腰痛の本当の原因」です。

日本では腰痛患者が約3,000万人いると言われています。その多くが「椎間板ヘルニア」と診断されますが、脊椎手術の現場を13年間見てきた私が断言できるのは、腰痛の原因は椎間板だけではなく、少なくとも5つの構造が複合的に関与しているという事実です。

この複合的な原因を理解しない限り、ストレッチをしても・コルセットをしても・手術をしても、根本的な解決には至りません。


1. 手術室で見た「脊椎の真実」——教科書とは違うリアル

脊椎の手術に立ち会うとき、私が毎回感じるのは「人体の精巧さ」と「現代生活による破壊の深刻さ」の両方です。

解剖学の教科書では、椎間板はきれいな円盤状に描かれ、神経は整然と走行しています。しかし実際の手術室では、長年の不良姿勢・過負荷・血流不足によって変性した椎間板は扁平化・線維化し、周囲の組織と癒着している状態が多く見られます。

さらに重要なのは、椎間板の変性だけが腰痛の原因ではないという事実です。手術で実際に確認できる「腰痛の構造的原因」は複数あり、それらが複雑に絡み合っています。


2. 腰痛を引き起こす「5つの構造的原因」

椎間板の変性と突出——最もよく知られた原因

椎間板は線維輪(外層)と髄核(内層のゲル状物質)で構成されるクッションです。加齢・過負荷・脱水によって線維輪が亀裂し、髄核が後方に突出することで神経を圧迫します。これが「椎間板ヘルニア」です。

手術で摘出した変性椎間板は、健康なものと比べて明らかに水分量が低く・硬く・弾力性を失っています。Vol.2で解説した腹圧不足による脊椎への剪断力の蓄積が、この変性を加速させます。

重要な事実:MRIで椎間板ヘルニアが確認されても、無症状の人が多数存在します。つまり「ヘルニアがある=腰痛の原因」という単純な等式は成立しません。

椎間関節症——見落とされがちな「第2の原因」

椎体同士を後方で繋ぐ椎間関節(ファセット関節)は、全身の関節と同様に軟骨・滑膜・関節包を持ちます。この関節に変形性関節症(骨棘形成・軟骨摩耗・滑膜炎)が生じると、特に腰を反らす動作・回旋動作で鋭い痛みが走ります。

手術現場での観察:椎間関節の変性は椎間板の変性と並行して起きることが多く、「腰を反らすと痛い」という訴えの多くは椎間板ではなく椎間関節が主犯であるケースがあります。過度な腰椎過前弯(反り腰)のトレーニングが椎間関節への圧縮を慢性化させます。

神経根の癒着と絞扼——「坐骨神経痛」の本当の正体

椎間孔から出る神経根は、周囲の組織(硬膜外脂肪・椎間板・靭帯)と癒着することがあります。この癒着が神経根の動きを制限し、慢性的な神経性疼痛(坐骨神経痛・下肢のしびれ)を引き起こします。

手術で神経根の癒着を剥離した瞬間、患者の下肢のしびれが術中に消失するという劇的な場面を私は何度も目撃してきました。この経験から、「坐骨神経痛=椎間板ヘルニアの圧迫」という単純な説明の不完全さを強く感じています。

脊柱管狭窄症——高齢者腰痛の主犯

加齢とともに黄色靭帯が肥厚し、椎間板が膨隆し、骨棘が形成されることで脊柱管(神経が通るトンネル)が狭まります。これが脊柱管狭窄症です。

特徴的な症状は「間欠性跛行(少し歩くと下肢が痛くなり、休むと回復する)」です。腰を丸めると脊柱管が広がって楽になるため、狭窄症の患者は前傾姿勢を取ることが多く、これがさらなる姿勢の悪化を招きます。

多裂筋・腸腰筋の萎縮——「筋肉の問題」が構造を壊す

脊椎手術の患者で私が毎回確認するのが、多裂筋腸腰筋の著しい萎縮です。慢性腰痛によってこれらの深層筋が使われなくなり、脂肪置換(筋肉が脂肪に置き換わる)が進んでいます。

この筋肉の萎縮こそが、腰痛の「結果」であると同時に「原因」でもあります。Vol.2で解説した腹圧システムの崩壊と日曜Vol.1で解説した腸腰筋の機能不全が、脊椎への過負荷を慢性化させ、椎間板・椎間関節の変性を加速させます。

📚 専門的エビデンス
Brinjikji W, et al. “Systematic literature review of imaging features of spinal degeneration in asymptomatic populations.” American Journal of Neuroradiology, 2015.
PubMedで詳しく見る

本研究は無症状の健常者を対象としたMRI画像研究のシステマティックレビューです。20代でも約37%に椎間板変性が見られ、50代では約80%に何らかの脊椎変性所見があることを示しました。「画像所見と症状は必ずしも一致しない」という重要な事実を証明した論文です。


3. LiAiLが提案する「腰痛の根本解決」3つのアプローチ

  1. 腹圧システムの再構築:水曜Vol.2で解説した360度ブレーシングを習慣化し、脊椎を「液圧シリンダー」で守ります。多裂筋・横隔膜・骨盤底筋の協調収縮が椎間板への負荷を劇的に軽減します。
  2. 腸腰筋と多裂筋の機能回復:日曜Vol.1で解説した腸腰筋の覚醒ワークと、多裂筋への意識的な収縮練習を組み合わせます。脂肪置換が進んでいない段階での介入が最も効果的です。
  3. 椎間関節への負荷パターンを変える:過度な腰椎伸展(反り腰)を避け、股関節主導の動作パターン(水曜Vol.3のヒップヒンジ)を全動作の基盤にします。

まとめ:腰痛は「椎間板の問題」ではなく「システムの崩壊」である

脊椎手術の現場で13年間見てきた腰痛の真実は、単一の構造的原因ではなく、複数の要素が連鎖的に崩壊するプロセスです。

  • 椎間板ヘルニアがあっても無症状の人がいる——画像と症状は一致しない
  • 腰痛の根本は「腹圧システムの崩壊」と「深層筋の萎縮」にある
  • 手術は最後の手段——その前にできる介入が必ずある

次週Vol.4では、「手術室で見た炎症と慢性疾患——太りやすい体が万病を招くメカニズム」を解説します。Vol.1の「太りやすい体」と今週の「慢性炎症」が繋がる回です。


✒️ 執筆者プロフィール

乳井 雅和(Masakazu Nyui)
パーソナルジム LiAiL(リアイル)代表

米国大学にて解剖学、栄養学、運動生理学を専攻。13年にわたり製薬・医療機器業界に従事し、数百件以上の手術現場への立ち合いを通じて、人体の内部構造をリアルに把握してきた類稀な経験を持つ。その圧倒的な知識量は、一般のお客様のみならず、各競技のプロアスリートからも厚い信頼を寄せられるほど。「根拠のない指導で、お客様の大切なお金と時間を奪う嘘の情報をなくしたい」という強い信念を持ち、フィットネス業界全体のレベルアップを自らの使命としている。科学的な「正しい設計図」に基づき、お客様が「今の自分が一番好き」と胸を張れる人生をプロデュース。愛犬のムースとウメを娘のように愛する、誠実な伴走者。

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LiAiL 運営会議:本日のまとめ

「MRIでヘルニアがあっても無症状の人が多い」って、これは衝撃だよ!画像だけで判断するのが間違いって、医療現場を知るパパだから言える言葉だね!🐾

オレ、先週から腰がちょっと重い感じがするんだが……これは椎間板か?椎間関節か?それとも多裂筋の萎縮か?パパ、診断してくれ🐾

小太郎、それはソファの上で丸まって寝てるせいよ。来週Vol.4は「手術室で見た炎症と慢性疾患」——太りやすい体が万病を招くメカニズムを解明するわ。🐾


川越パーソナルジムLiAiL代表乳井雅和