【金曜連載12】男女ダイエット・競技者減量の科学|計量後リカバリーの科学|試合開始までに最大パフォーマンスへ戻す再補給設計|LiAiL

2026.07.31

パパ、計量をクリアできても、そのあと体調が戻らないまま試合に入っちゃう人がいるんだけど……計量後って何を食べればいいの?🐾

実は「計量後にどれだけ体重を戻せるか」が勝敗と関係しているというデータがあるのよ。パパ、金曜Vol.11の続きとして、計量後の再補給の科学を語りなさい。🐾

皆さん、こんにちは。LiAiL代表の乳井雅和です。
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私自身、パワーリフティング競技者として計量から試合開始までの限られた時間の使い方に何度も向き合ってきました。前回Vol.11では計量前48時間の安全な最終調整をお伝えしました。今週Vol.12は、その続きとして「計量後リカバリーの科学:試合開始までに最大パフォーマンスへ戻す再補給設計」を解説します。

(👉 【金曜連載Vol.11】計量前48時間の科学はこちら
(👉 【金曜連載Vol.6】食事タイミングの科学はこちら
(👉 【金曜連載Vol.5】PFCマクロ設計はこちら

「計量さえクリアすればあとは何とかなる」という考え方は、計量後の限られた時間を無為に過ごすことにつながり、実力を出し切れないまま試合を迎える原因になります。計量はゴールではなく、試合当日のコンディションを作る最終工程のスタート地点です。


1. 「勝者は計量後に体重を戻している」実測データが示す事実

柔道選手86名の実測データ

Reale R, Cox GR, Slater G, Burke LM(2016年)は、国際柔道大会に出場した選手86名(女性36名・男性50名)を対象に、公式計量時と、初戦の1時間前(計量から15〜20時間後)の体重を比較する観察研究を行いました。その結果、メダリスト・勝者は、非メダリスト・敗者と比較して、計量後の体重の戻り幅(リバウンド)が有意に大きかったことが報告されています(男性平均+2.3±2.0%、女性平均+3.1±2.2%、いずれもp≤.0001)。

「戻せなかった」のではなく「戻さなかった」選手が負けている

この結果が示唆するのは、計量後の再補給を計画的に行えた選手ほど、試合当日により良いコンディションで臨めていた可能性です。金曜Vol.11で解説した「安全な最終調整」は、計量をクリアすることだけが目的ではなく、その後の15〜20時間でいかに回復するか」までを含めた設計である必要があります。

📚 専門的エビデンス
Reale R, Cox GR, Slater G, Burke LM. “Regain in Body Mass After Weigh-In Is Linked to Success in Real Life Judo Competition.” International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism, 2016;26(6):525-530.
PubMedで詳しく見る

国際柔道大会に出場した選手を対象に、計量時と初戦直前の体重変化を実測した観察研究です。計量後の体重の戻り幅が大きい選手ほど勝率が高かったことを示しており、「計量後の再補給の質」が競技成績に直結し得ることを裏付ける代表的なエビデンスです。


2. 「何を」「どれくらいのペースで」補給するか。糖質・水分・電解質の再補給設計

計量直後の体は、金曜Vol.11で解説したグリコーゲン・水分・ナトリウムが意図的に減らされた状態です。ここからの再補給は「量」だけでなく「ペース」が重要になります。スポーツ栄養学で広く採用されている目安として、計量直後の数時間は体重1kgあたり1〜1.2g程度の糖質を、消化の良い形で継続的に補給することがグリコーゲン回復のペースとして推奨されています。体重70kgの選手であれば、1時間あたり70〜84g程度の糖質を目安に、数時間かけて分割摂取するイメージです。

水分についても、真水だけより、ナトリウムを含む飲料の方が体内への水分保持率が高いことが知られています。スポーツドリンク程度のナトリウム濃度を目安に、水分と電解質を同時に補給する設計が効果的です。


3. LiAiL式「計量後〜試合開始までの再補給 5つの原則」

  1. 計量直後から「時間で区切った」再補給を始める:計量が終わったら間を空けず、消化の良い糖質・水分・電解質を最優先で摂取します。「まず何か食べる」ではなく、時間軸で設計します。
  2. 水分はナトリウムと一緒に摂る:真水だけを一気に飲むより、電解質を含む飲料を少量ずつ継続的に摂る方が体内保持率が高くなります。
  3. 糖質は一度に大量摂取せず分割する:体重1kgあたり1〜1.2g程度を目安に、金曜Vol.6で解説したタイミング設計の考え方で数時間かけて分割摂取し、消化器系への負担を避けます。
  4. 高脂質・高食物繊維の食品は試合直前に避ける:金曜Vol.9で解説した「見えない脂質」の多い食品は胃排出が遅く、試合直前の消化器トラブルの原因になります。
  5. 試合直前の最終補給はウォームアップに合わせて軽めに:金曜Vol.6の「タイミング設計」の応用として、試合直前は消化に時間のかかる固形食を避け、軽い糖質補給に切り替えます。

※本記事は競技経験があり、日頃から指導者の管理下で減量・計量を行っている階級制競技者を対象としています。持病をお持ちの方や成長期の選手は、必ずスポーツドクター・管理栄養士と相談の上で計画してください。


まとめ:計量はゴールではなくスタート。「戻し方」が勝敗を分ける

金曜シリーズの流れを振り返ります。

  • Vol.8:アルコールと体組成|完全禁止ではなく戦略的な飲み方の管理
  • Vol.9:外食・コンビニ食でも体組成を維持する科学|現実的な選択肢の作り方
  • Vol.10:体重計の数字に振り回されない科学|停滞期のメンタルマネジメント
  • Vol.11:計量前48時間の科学|パフォーマンスを落とさない安全な最終調整
  • Vol.12:計量後リカバリーの科学|試合開始までに最大パフォーマンスへ戻す再補給設計

次週Vol.13では、Vol.11・12で扱った競技者減量の話題から少し軸を戻し、「サプリメントの真実。本当に体組成に効果があるものだけを見極める科学」を解説する予定です。


✒️ 執筆者プロフィール

乳井 雅和(Masakazu Nyui)
パーソナルジム LiAiL(リアイル)代表

米国大学にて解剖学、栄養学、運動生理学を専攻。13年にわたり製薬・医療機器業界に従事し、数百件以上の手術現場への立ち合いを通じて、人体の内部構造をリアルに把握してきた類稀な経験を持つ。その圧倒的な知識量は、一般のお客様のみならず、各競技のプロアスリートからも厚い信頼を寄せられるほど。「根拠のない指導で、お客様の大切なお金と時間を奪う嘘の情報をなくしたい」という強い信念を持ち、フィットネス業界全体のレベルアップを自らの使命としている。科学的な「正しい設計図」に基づき、お客様が「今の自分が一番好き」と胸を張れる人生をプロデュース。愛犬のムースとウメを娘のように愛する、誠実な伴走者。

(👉 代表・乳井の詳しいプロフィールはこちら


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LiAiL 運営会議:本日のまとめ

「体重を戻せた選手が勝ってる」ってデータ、計量後にダラダラしちゃダメだってことがよく分かるね🐾

ボクは毎日体重が「戻る」というか「増える」の一方だぞ!🐾

小太郎、あなたはグリコーゲン補給じゃなくておやつの食べすぎなの。来週Vol.13は「サプリメントの真実」本当に効果があるものだけを見極める科学を解説するわ。🐾


川越パーソナルジムLiAiL代表乳井雅和

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