【月曜連載25】医療現場が教えるカラダの真実|コレステロールと血管——医療現場が教える「詰まる血管」を運動で守る視点|LiAiL
パパ、お客様が「健診でLDLコレステロールが高いって言われたけど、痩せてるし自覚症状もないから大丈夫だよね?」って言ってたんだ。本当に大丈夫なの?🐾
ムース、「痩せているから大丈夫」は典型的な思い込みよ。コレステロールは体型だけでなく、体質や遺伝でも決まるの。そして血管の変化は、症状が出る頃にはかなり進んでいることもあるわ。パパ、手術現場で見てきた血管の実態を語りなさい。🐾
皆さん、こんにちは。LiAiL代表の乳井雅和です。
(👉 代表・乳井の詳しいプロフィールはこちら)
前回Vol.24では「血圧と運動」で、血管にかかる「圧」を扱いました。今週Vol.25は、血管そのものの状態に目を向けて、「コレステロールと血管——医療現場が教える『詰まる血管』を運動で守る視点」を解説します。
私は13年間の製薬・医療機器業界で、心臓や血管の手術現場に数多く立ち会ってきました。血管の内側が狭くなっている様子を目の当たりにするたびに、「この変化は、何年も前から静かに進んでいたのだ」と感じました。また、20,000セッション以上のパーソナル指導の中でも、「数値は気になるけれど、何から始めればいいか分からない」という声をよく耳にします。
(👉 【月曜連載Vol.24】血圧と運動はこちら)
(👉 【月曜連載Vol.4】心臓手術現場から学ぶ運動の真実はこちら)
(👉 【月曜連載Vol.12】糖尿病患者の運動処方はこちら)
(👉 【火曜連載Vol.1】エストロゲンと脂肪分布の真実はこちら)
「コレステロールは悪者」とひとくくりにされがちですが、実はコレステロールは細胞膜やホルモンの材料になる大切な成分です。問題は「種類」と「量」と「血管の状態」の組み合わせにあります。この記事で、その整理をしていきましょう。
1. コレステロールとは何か——「悪玉」「善玉」の本当の意味
コレステロールは脂質の一種で、細胞膜の材料、ステロイドホルモン(Vol.1で扱ったエストロゲンも含みます)の原料、胆汁酸の材料として体に不可欠です。ただし油と同じく血液に溶けにくいため、リポタンパクという運び屋に包まれて血液中を移動します。
健康診断で見る主な項目は次の3つです。
- LDLコレステロール(いわゆる悪玉):コレステロールを全身に運ぶ役割。多すぎると血管の壁にたまりやすくなります。
- HDLコレステロール(いわゆる善玉):余ったコレステロールを回収して肝臓へ戻す役割。
- 中性脂肪(トリグリセライド):エネルギーの貯蔵形態。食べ過ぎ・飲み過ぎ・運動不足で増えやすい項目です。
日本動脈硬化学会のガイドラインでは、脂質異常症の診断基準として、LDLコレステロール140mg/dL以上、HDLコレステロール40mg/dL未満、中性脂肪150mg/dL以上(空腹時)などが示されています(基準は改訂される場合があるため、最新版をご確認ください)。なお、目標とするLDLの値は「その人の他のリスク」によって変わります。糖尿病や高血圧、喫煙、家族歴などがあれば、より厳しい目標が設定されることがあります。
2. 血管が「詰まる」プロセス——静かに進む動脈硬化
① 血管の内側の傷から始まる
動脈硬化の入り口は、血管の内側の壁(内皮)の傷や機能低下です。高血圧(Vol.24)、高血糖(Vol.12)、喫煙などが、この内皮にダメージを与えます。
② LDLが壁に入り込み、「プラーク」をつくる
傷ついた壁にLDLが入り込み、酸化されると、免疫細胞(マクロファージ)が取り込んで泡のような細胞に変わります。これが積み重なってできる膨らみがプラーク(粥腫)です。血管の内側が狭くなり、血流が減っていきます。
③ プラークが破れると、一気に血管が詰まる
プラークの表面が破れると、そこに血栓(血の塊)ができて、血管を急に塞ぐことがあります。これが心筋梗塞や脳梗塞の主なきっかけです。Vol.9で解説した血栓のリスクとも、仕組みの一部がつながっています。だからこそ、症状が出る前の段階で、数値と生活習慣を整えることが重要になります。
📚 専門的エビデンス
Mach F, et al. “2019 ESC/EAS Guidelines for the management of dyslipidaemias: lipid modification to reduce cardiovascular risk.” European Heart Journal, 2020.
PubMedで詳しく見る
本ガイドラインは、欧州心臓病学会・欧州動脈硬化学会による脂質異常症管理の指針です。LDLコレステロールの低下が心血管イベントの減少と関連することを前提に、個人のリスクに応じた目標値の設定と、生活習慣の改善(食事・運動・禁煙・体重管理)を治療の土台とすることが示されています。「数値は一律ではなく、リスクで目標が変わる」という本記事の前提を裏付ける文献です。
3. 運動は脂質に何をするのか——効く項目と、効きにくい項目
運動がすべての項目に同じように効くわけではありません。ここを整理しておくことが、期待しすぎ・諦めすぎの両方を防ぎます。
Kodama S, et al.(2007)は、有酸素運動と血中HDLコレステロールに関する多数の試験をまとめたメタアナリシスで、運動によってHDLコレステロールが平均で約2.5mg/dL上昇したと報告しています(Archives of Internal Medicine)。数字だけ見ると小さく感じますが、これは研究全体の平均で、運動量が多いほど上がりやすい傾向も示されています。
- 中性脂肪:運動で下がりやすい項目です。特に食事の見直し(糖質・アルコールの摂り過ぎの調整)と組み合わせると変化が出やすいとされています。
- HDLコレステロール:有酸素運動を継続すると、緩やかに上がる傾向があります。
- LDLコレステロール:運動単独での低下は、他の2項目に比べて小さいことが多いとされています。体重減少や食事の質の改善と併せて考えることが大切です。
つまり、「運動をすればLDLが劇的に下がる」とは言い切れません。一方で、運動は血圧・血糖・内臓脂肪・内皮の機能にも良い影響を与えるため、血管全体を守る「土台」として価値があります。LDLが高い場合は、生活習慣の改善に加え、医師の判断で薬物療法が必要になることもあります。「運動しているから薬は不要」と自己判断しないことが重要です。
4. 数字で設計する——運動量・食事・体重の目安
日本動脈硬化学会のガイドラインでは、動脈硬化性疾患の予防として、中強度の有酸素運動を毎日30分以上(週180分以上が目安)を推奨しています(個々の状態により異なります)。Vol.24と同じ「30分 × 6日 = 180分」という考え方で設計できます。
🧮 運動によるエネルギー消費の概算例
体重70kgの方が、中強度のウォーキング(約3.5METs)を30分行った場合:
エネルギー消費 ≒ 3.5 × 70kg × 0.5時間 × 1.05 ≒ 約129kcal
これを週6日続けると、129 × 6 = 約774kcal/週になります。
※METs(運動強度の指標)による概算で、個人差があります。体脂肪1kgあたりおよそ7,200kcalとされるため、運動だけで体脂肪を1kg減らすには約9〜10週間かかる計算(7,200 ÷ 774 ≒ 9.3)です。食事の調整と組み合わせて考えると現実的です。
食事面では、飽和脂肪酸(バター・肉の脂身・加工肉に多い)の摂り過ぎを控え、青魚(EPA・DHA)、野菜、大豆製品、食物繊維を増やすことが、一般に推奨されています。木曜Vol.10で触れた食物繊維と腸の話も、ここでつながります。また、食事から摂るコレステロールの影響には個人差があるとされており、「卵は1日1個まで」のように一律に制限する時代ではなくなってきています。気になる方は、主治医や管理栄養士に個別の指導を受けてください。
レジスタンストレーニングについては、筋肉量の維持がインスリンの働き(Vol.12)を支えるため、間接的に血管を守る要素と考えられます。ただし、Vol.24で解説したとおり、息を止めて力む動作は避け、血圧が不安定な場合は軽〜中負荷から始めてください。
5. LiAiL式「血管を守る5つの介入」

- まず自分の数値を知る:健診結果のLDL・HDL・中性脂肪を確認し、毎年の変化を記録します。数値の解釈と目標設定は医師と相談します。
- 中強度の有酸素運動を週180分を目安に習慣化する:会話ができる強度のウォーキングなどから始め、10分ずつの分割でも構いません。
- 食事の「質」を見直す:飽和脂肪酸・糖質・アルコールの摂り過ぎを調整し、青魚・野菜・大豆製品・食物繊維を増やします。極端な制限ではなく、継続できる範囲で進めます。
- 血圧・血糖・喫煙もセットで管理する:血管の傷は複数の要因が重なって進みます。コレステロールだけを見るのではなく、Vol.24の血圧、Vol.12の血糖と合わせて確認します。
- 薬を処方された場合は自己判断で中断しない:遺伝的にLDLが高い体質(家族性高コレステロール血症など)の方は、生活習慣だけでは十分に下がらないことがあります。胸の締めつけ感、息切れ、左腕や顎への痛みなどが運動中に出た場合は、直ちに中止して医療機関を受診してください。服薬や運動の開始は、必ず主治医に相談しましょう。
まとめ:血管は「症状が出る前」に守る。運動は、その土台になる
月曜シリーズこれまでの流れを振り返ります。
- Vol.1〜5:脂肪・姿勢・脊椎・心臓・関節——手術現場が教える体の構造的真実
- Vol.6〜8:骨・腱靭帯・神経——組織修復と力学的刺激の関係
- Vol.9〜14:がん・透析・糖尿病・妊娠・高齢者——制約のある体を支える運動設計
- Vol.15〜24:「見えないプロセス」——痛み・むくみ・呼吸・脱水・体温・睡眠・血液・血圧の奥にある機能の話
- Vol.25:コレステロールは「種類・量・血管の状態」で考える。運動は血管を守る土台
次週Vol.26では、「肝臓と運動——医療現場が教える『沈黙の臓器』を守る視点」を解説します。血管に続き、代謝の中心を担う肝臓に注目します。
✒️ 執筆者プロフィール
乳井 雅和(Masakazu Nyui)
パーソナルジム LiAiL(リアイル)代表
米国大学にて解剖学、栄養学、運動生理学を専攻。13年にわたり製薬・医療機器業界に従事し、数百件以上の手術現場への立ち合いを通じて、人体の内部構造をリアルに把握してきた類稀な経験を持つ。その圧倒的な知識量は、一般のお客様のみならず、各競技のプロアスリートからも厚い信頼を寄せられるほど。「根拠のない指導で、お客様の大切なお金と時間を奪う嘘の情報をなくしたい」という強い信念を持ち、フィットネス業界全体のレベルアップを自らの使命としている。科学的な「正しい設計図」に基づき、お客様が「今の自分が一番好き」と胸を張れる人生をプロデュース。愛犬のムース・ウメ・小太郎を家族のように愛する、誠実な伴走者。
🎁 本気で身体を変えたいあなたへ
通常3,000円 → 【選べる3段階の入り口】
- 本気で変わりたい方: 体験トレーニング予約(2,500円・スタッフ指名可)
- まずは相談したい方: 公式LINEでの無料相談・質問(24時間受付)
- まだ迷っている方: LINE登録で「一生モノの美肌&痩身ロードマップPDF」をプレゼント
👉 【LiAiL公式LINE】を登録して、350日連載を並走する
LiAiL 運営会議:本日のまとめ
運動は中性脂肪やHDLには効きやすいけど、LDLは単独だと小さめなんだね。「運動だけで万能」じゃないって知れてよかった!🐾
痩せてても数値が高い人がいるってのは盲点だったな。健診の数字をちゃんと見て、必要なら薬も医者と相談だな🐾
小太郎、その姿勢が大切よ。来週Vol.26は「肝臓と運動」——沈黙の臓器を守る視点を解説するわ。🐾











