【金曜連載24】男女ダイエット・競技者減量の科学|減量ペースの科学|週に体重の何%まで落としてよいのか|LiAiL
パパ、「早く痩せたいから1週間で3kg落としたい」っていう相談が多いんだけど、そもそも週にどれくらいまでなら落としていいの?🐾
実は「週に体重の何%」で比べた実験があるのよ。パパ、計量のある競技者として減量期のペース設定を何度も経験してきた立場から、速さの科学を語りなさい。🐾
皆さん、こんにちは。LiAiL代表の乳井雅和です。
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パワーリフティング競技者として減量期を何度も経験し、20,000セッションを超える指導でも、減量ペースの設定は結果を最も左右する要素の一つだと感じてきました。「早く落とすほど早く終わる」と考えて飛ばしすぎ、筋肉と筋力を失って停滞する方を数多く見ています。今週Vol.24は「減量ペースの科学:週に体重の何%まで落としてよいのか」を解説します。
(👉 【金曜連載Vol.2】競技者の計画的減量はこちら)
(👉 【金曜連載Vol.4】停滞期の代謝適応はこちら)
(👉 【金曜連載Vol.11】計量前48時間の科学はこちら)
(👉 【金曜連載Vol.23】有酸素運動と筋トレの干渉効果はこちら)
「とにかく早く落とす」という考え方は、体脂肪だけでなく筋肉と筋力まで一緒に削ってしまうリスクを見落としています。減量のスピードにも、体組成を守るための設計上の目安があります。
1. 週0.7%と週1.4%を比べた実験。ゆっくり落とした群だけが筋肉を増やした
① 同じ筋トレをしながら、減量速度だけを変えて比較
Garthe I ら(2011年)は、エリートアスリートを対象に、筋トレを併用しながら週あたりの体重減少率を0.7%(ゆっくり減量:SR)と1.4%(速い減量:FR)に設定して比較しました。結果、除脂肪量(筋肉などの脂肪以外の組織)は、ゆっくり減量群で2.1%増加した一方、速い減量群では変化がありませんでした。
② 筋力とジャンプ力もゆっくり減量群が優位
パフォーマンスでも差が出ました。ゆっくり減量群ではすべての筋力指標が有意に向上し、ベンチプレスは13.6%、カウンタームーブメントジャンプ(反動を使った垂直跳び)は7%向上しました。速い減量群では、ジャンプ力に有意な変化が見られませんでした。著者らは、筋トレと併用して除脂肪量と筋力の向上を狙うなら、週0.7%程度の減量ペースを目指すべきと結論づけています。
📚 専門的エビデンス
Garthe I, Raastad T, Refsnes PE, Koivisto A, Sundgot-Borgen J. “Effect of Two Different Weight-Loss Rates on Body Composition and Strength and Power-Related Performance in Elite Athletes.” International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism, 2011;21(2):97-104.
PubMedで詳しく見る
筋トレを併用するエリートアスリートを、週0.7%と週1.4%の2つの減量ペースに分けて比較した研究です。ゆっくり減量群では除脂肪量が2.1%増加し、筋力・ジャンプ力も向上した一方、速い減量群では除脂肪量・ジャンプ力に有意な変化がなかったことから、「減量のスピード自体が体組成と競技力を左右する」ことを示した代表的なエビデンスです。
2. 「遅いほど常に良い」とは言えない。12か月追跡が示した事実
同じ研究チームによる追跡研究(Garthe, Raastad, Sundgot-Borgen, 2011年, IJSNEM 21(5):426-435)では、減量後6か月・12か月時点の状態も調べられました。結果、6か月後の時点では、ゆっくり減量した群の方が体重・体脂肪の戻りが早く、12か月後には群間差は有意ではなくなりました。一方で、1RM(1回だけ挙げられる最大重量)は、ゆっくり減量群の方が維持できる傾向がありました。つまり、減量中の筋肉と筋力を守る点ではゆっくり落とす方が有利でも、「リバウンドしにくいか」は減量ペースだけでは決まりません。金曜Vol.4で解説した代謝適応と同じく、減量後の維持設計が欠かせないという結論になります。
なお、これらの研究の対象は筋トレを行うエリートアスリートで、人数も多くありません。一般の方にそのまま当てはまるかどうかは、推測を含む部分として受け止めてください。
3. LiAiL式「減量ペースを設計する5つの原則」

- 目標ペースは「週に体重の0.7%」を基準にする:体重70kgなら0.7%は週約0.5kgです(60kgなら約0.4kg、80kgなら約0.6kg)。体脂肪1kgを約7,200kcalとする概算では、1日あたり約500kcalの不足に相当します。
- 上限は「週0.5〜1kg」の範囲と、研究で不利だった1.4%を避ける:体重70kgの1.4%は週約1kg(1日約1,000kcal不足)です。LiAiLでは余裕を見て、週1%以内を上限の目安にしています(これは研究の直接の結論ではなく、LiAiLの実践方針です)。
- ペースは「週平均」で判定する:金曜Vol.10で解説した通り、体重は水分で日々1〜2kg動きます。7日移動平均で2〜3週間の傾きを見て、目標ペースから外れていれば食事を100〜200kcal程度調整します。
- 筋トレとタンパク質は維持する:この研究の優位性は、筋トレを併用した条件での結果です。金曜Vol.19の頻度・ボリュームと金曜Vol.20のタンパク質量(体重1kgあたり1.6〜2.2g)を保ち、有酸素の増やしすぎ(金曜Vol.23)にも注意します。
- 減量期間は区切り、終わった後の設計まで決める:12か月追跡で群間差が消えたように、ペースだけでは長期の結果は決まりません。開始前に期間と、減量後の維持カロリーへの戻し方を決めておくことで、金曜Vol.7のリフィードや金曜Vol.4の停滞期対策にもつなげられます。
※摂食障害の既往がある方、妊娠・授乳中の方、成長期の方、持病のある方は、減量ペースを自己判断で設定せず、必ず医師・管理栄養士にご相談ください。体重の減少が目標を大きく超える場合や、強い疲労・めまいが続く場合は、減量を中断して専門家に相談してください。
まとめ:減量は「速さ」より「筋肉を守れるペースと、終わった後の設計」で決まる
金曜シリーズの流れを振り返ります。
- Vol.20:タンパク質摂取量の本当の上限|「摂りすぎ」は腎臓に悪いのかの科学的検証
- Vol.21:NEAT(非運動性熱産生)の科学|座りっぱなしがダイエットを妨げる本当の理由
- Vol.22:ファステッドカーディオの科学的検証|空腹時トレーニングは本当に脂肪燃焼に有利なのか
- Vol.23:有酸素運動と筋トレの干渉効果|同時に行うと筋肥大は本当に妨げられるのかの科学的検証
- Vol.24:減量ペースの科学|週に体重の何%まで落としてよいのか
次週Vol.25では、「ダイエットブレイクの科学:2週間減量・2週間休止は本当に有効なのか」を解説する予定です。減量ペースの設計に「休む期間」を組み込む考え方を掘り下げます。
✒️ 執筆者プロフィール
乳井 雅和(Masakazu Nyui)
パーソナルジム LiAiL(リアイル)代表
米国大学にて解剖学、栄養学、運動生理学を専攻。13年にわたり製薬・医療機器業界に従事し、数百件以上の手術現場への立ち合いを通じて、人体の内部構造をリアルに把握してきた類稀な経験を持つ。その圧倒的な知識量は、一般のお客様のみならず、各競技のプロアスリートからも厚い信頼を寄せられるほど。「根拠のない指導で、お客様の大切なお金と時間を奪う嘘の情報をなくしたい」という強い信念を持ち、フィットネス業界全体のレベルアップを自らの使命としている。科学的な「正しい設計図」に基づき、お客様が「今の自分が一番好き」と胸を張れる人生をプロデュース。愛犬のムースとウメを娘のように愛する、誠実な伴走者。
(👉 代表・乳井の詳しいプロフィールはこちら)
(👉 note「臨床解剖学(図解)」トレーナー向け解説記事はこちら)
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LiAiL 運営会議:本日のまとめ
「週に0.5kg前後」って地味に聞こえるけど、筋肉を守りながら落とすならこれが近道なんだね🐾
ボクの体重は週に0.7%どころか、おやつで毎週増えてる気がするぞ!🐾
小太郎、それはまず週平均で記録するところからよ。来週Vol.25は「ダイエットブレイクの科学」——減量中に休む期間を入れる考え方を解説するわ。🐾











